kazutomoのブログ

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東のエデン感想【ネタバレあり】

え?今更?と思われるかもしれませんが、ようやく見ました。

ちょいちょい名前は見るけど、実際に見たことがなかったアニメでしたが、ようやく見たので感想を書きたいと思います。

なおテレビシリーズ+劇場2作を見た後で、ネタバレありの内容です。

 

端的に感想を述べると、設定はすごくよかったですが、物語の構成が悪かった。です。

 

12人のセレソンが選出され、セレソンはノブレス携帯という特殊な携帯電話が与えられる。

ノブレス携帯にはジュイスという音声認識コンシェルジュ機能が付いている(siriとかcortanaみたいなもの)。

ジュイスへの命令はあらかじめ与えられた100億円を利用して実行される。

100億円は日本をよくするために利用しなければならない。

私的な利用が続いたと判断されたり、残額が0円になったのに日本をよくしたと判断されなかったり、長期間ノブレス携帯を利用しなかった場合は12人のセレソンに紛れたサポーターによってゲームを下ろされる。

セレソンジュイスに依頼したことで発生した出費は他のセレソンからも参照可能。

いずれかのセレソンが日本をよくしたと判断されたとき、他のセレソンはゲームを下ろされ、勝者となったセレソンは主催者であるアウトサイドと直接会うことが出来る。

 

このあたりが物語の中核となるセレソンゲームの概要です。

すごく魅力的な設定だと思います。さすが神山さんと言ったところでしょうか。

 

そして、この物語にはもう一つ魅力的な設定があります。

東のエデンという大学のサークルが作った画像認識システム、通称エデンシステムです。

携帯電話で物体にカメラを向けるとその物体に関する有志によって投稿されたメタ情報が表示されるというものです。

いわゆるAR技術で、セカイカメラみたいなものですね。

ただ、トンデモ設定として、物体をあらゆる角度から撮影しても正しく認識される。というものがあります。

 

登場人物は12人のセレソンと、東のエデンの部員が中心となりますが、セレソン12人もいらなかったのでは?というくらい個々の描写が甘く、物語の構成として何のためにセレソンに選抜されたのかわからない人物もいました。

 

東のエデンの部員もみんな個性的で魅力的で、物語の進行に絡んでいろいろ奮闘するのですが、結局のところあまり成果が上がりませんでした。

 

なにより、エデンシステムはテレビシリーズのちょうど中盤で登場しました。

なので、私はこのエデンシステムを活用して他のセレソンを出し抜いて勝者となる。という筋書きなのだな。と思ったのですが、このあたりはうまく機能しませんでした。

結局ただのSNSのように描画されてしまったのです。

 

サポーターもそうです。セレソンの監視者として、有効に機能したエピソードがありませんでした。

 

個人的には題材はいいのに、うまく物語として調理できなかったなあ。という印象でした。

おそらく、物語を再構成すれば、本作は東のエデン・エデンシステムが無くても同等の物語が作れてしまうでしょう。

 

もっと、エデンシステムや東のエデンのみんなが物語の中核に関わるか、いっそ切り捨ててセレソンゲームに特化した物語だったほうが面白かったのかなあ。と思いました。

 

さて、ここまでは設定に関しての感想でしたが、テーマについてはどうか。

 

物語のテーマも興味深くて「閉塞感のある日本をどうにかしよう」です。

セレソンは個々の思うままに日本をよくしようとするわけですけど

セレソンには選抜基準があって、事前にアウトサイドに100億円与えられて、日本を変えてくれ。といわれたらどうする?という質問に対して興味深い回答をした。という前提があったはずです。

その割に、あまりにも「ゲームの勝者になることに興味は無い」という登場人物が多すぎました。

せっかくなら、ちゃんと個々の思想を持たせて、ぶつかり合わせるべきだったと思います。

それこそが、閉塞感のある日本を打開するために様々なアプローチがあるのだ!という制作側のメッセージになったとおもいます。

おそらく制作側もテーマは考えたけど、具体的な手法までは及ばなかったのかもしれません。このあたりは非常に残念でした。

 

劇場版の最後に滝沢が全国民に問いかけるあたりも、それで人は動くだろうか?というセレソンナンバー1番や私の思いに対する回答はありませんでした。

一方でアウトサイドからはゴール判定がでます。ちょっと納得がいきませんでした。だって、まだ日本はよくなってないですから。

 

総括すると、この設定を引き継いで、じっくり練られた話が見てみたいなあ。という、印象を持ったおはなしでした。