kazutomoのブログ

たまーに気が向いたらなんか書きます

マリオランはなぜ叩かれたか?マリオは消極的選択されるIPだったからではないか。

マリオランの現状

マリオランが配信されてしばらく経ちましたが、インターネットでの反応はあまりいいものではなさそうです。

その最たるモノが1200円という価格によるものでしょう。

 

私個人の感覚としては、任天堂がマリオランを世に出すにあたって1200円という値付けはかなり消費者に譲歩した価格設定だと思っています。

というのも、マリオシリーズは基本的にパッケージ販売されており、フルプライスで売られるIPだからです。

 

しかし、消費者からはそれでも高いと言われてしまいました。

その背景には消費者の多くがF2Pに慣れてしまった。というのもあるでしょうが、私はそれだけでは無いと思っています。

マリオというIPの特性

それはマリオというIPの特性にあると感じています。

おそらく、これまでマリオを遊んできた多くの人にとって、マリオの購入は積極的選択では無かったのではないか。という肌感覚によるものです。

 

(近年はその力は弱まっていっていると感じますが) 新しい物好きの日本人にとって、これまでゲーム機は心くすぐられる商品でした。

そして、そのゲーム機に常に寄り添ってきたのがマリオでした。

新しいゲーム機が欲しいな。という気持ちから始まり、その時ソフトウェアラインナップを見て、安牌としてマリオを選択する。そして、マリオはその期待に応えてきた。それがマリオというIPがこれまで築き上げてきた価値なのではないかと思います。

 

山内さんの格言に「消費者はソフトのために仕方なくハードを買う」というものがありますが、それも一理あるとは思います。しかし、全てに当てはまるものではない。とも感じます。

マリオも初期でこそ当てはまったかもしれませんが、ドラゴンクエストファイナルファンタジーのような他人との話のネタになるようなタイトルであれば、話に置いてきぼりにならないよう、積極的な選択として選ばれるタイトルと言えるでしょう。

モンハンやポケモンどうぶつの森といったIPも積極的な選択がされるタイトルに当てはまるとおもいます。これらに共通するのは、現実世界のコミュニケーションに繋がることです。

これらのタイトルはハードの牽引効果も大きいです。(近年はスマホゲームが無料で話のネタになるため、専用機のゲームは役割を終え、牽引効果も期待できなくなっているとも感じます)

 

話を戻して、ストイックな一人遊び、または同じ画面を共有したパーティプレイ色の強いマリオというIPにおいては、周辺との話題性としては弱く、どちかといえば、ハードの購入する際の「ハードを購入してガッカリしたくない。手堅く楽しめるものが欲しい」という消極的な選択をされるタイプのタイトルはではないかと思います。

マリオがスマホに!

そんなマリオがスマートフォンに進出しました。みんなiPhoneはすでに持っていて満足しています。

今さら「iPhone買って良かったー」なんて気持ちになることを求めていません。

そして、マリオはこれまでの歴史で初めて積極的選択として評価される立場になりました。

4800円のマリオを買うことが25000円のハードを買うことに説得力を持たせる」という立場から「マリオに1200円の価値があるのか?」という土俵に変わったのだと思います。

 

マリオランの出来が悪いと言うつもりはありません。とはいえステージ3つではマリオランの価値が計れる内容になっていないというのは問題だったかもしれません。

とにかく、消費者はマリオランというコンテンツの無料部分を積極的選択として評価した結果、1200円の価値を見出せなかった。というのは事実でしょう。

どうすればよかったのか?

任天堂はどうすればよかったのでしょうか。マリオというIPがハードウェアの満足度を高める性質のモノであり、積極的にお金を払いたくなるIPではない以上、ありかたを見直す必要はあったでしょう。

 

後知恵バイアスがかかっているのはもちろん承知していますが、マリオはマリオそのものより、大きな投資に対する満足度を高める性質のIPですので、こいつで直接儲けることは諦めるべきだったのでしょう。

完全に無料アプリとしてリリース。もしくは「コイン集めの開放」「キノピオラリーのスタミナ課金」のような自己満足程度の課金要素を付けるのがいい落とし所だったのではないかとおもいます。

 

これでは、批判されながら1200円で売っている現状と比べて直接的な売り上げは下がるでしょう。

しかし、このアプローチは目に見えない形で価値を残してくれるはずです。それはこれまでマリオに触れてこなかったユーザへの「マリオは手堅い楽しさを提供してくれる」という認識の刷り込みです。

この価値は将来マリオというIPを使うときの武器になると思います。 

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マリオIPの価値を高める意味

例えば、この良質な体験はSwitchの販売促進に役立つかもしれませんし、今後出てくるマリオエリアの展開に合わせてユニバーサルスタジオへの誘導になるかもしれません。あわよくば入場パスに付加価値として追加ステージの解放コードを売るといった満足度を高める手法もあるかもしれません。

とにかく、任天堂がマリオというIPの特性を見誤ったことが、今回の炎上の原因だったのではないかと、私は思うわけであります。

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 任天堂は今後スマホ市場の覇者になり得るか

今後出てくる本体を牽引する力のあるどうぶつの森では幅広くしっかり儲かる仕組みを。コアな固定客の付いているファイアーエムブレムではむしり取るような課金を出来るかが任天堂スマホビジネスで勝者になれるかがかかってるのではないかと思っています。

 

そんな金儲けに血眼になっている任天堂を見たくない。という人もいるかもしれません。それはDS/Wiiあたりのお金があってキレイな任天堂を演じられた余裕のあった時代の終焉を任天堂自身が受け入れられるか。というところにかかっていると思います。
キレイなビジネスをしたかったのであれば、スマホビジネスになんか手を出さずに、ほそぼそと子供向けのみんなが安心して遊べるゲーム機を作っていればよかったのです。

 

余裕がなくなって、金儲けのできるステージに乗り込んだのであれば、そのステージに合わせて全力で戦えるのかどうか。そこが今の任天堂が試されているところなのではないかと思います。